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CIVIC TECH FORUM 2022 福岡会場イベントレポート

エンジニアカフェでは、最近オンラインで全国の拠点を繋ぎつつ、福岡会場でもTECHセッションを配信するパターンのイベントが増えてきました。

今回ご紹介する2023年1月21日(土)10:00~16:00に開催されたCIVIC TECH FORUM 2022も、仙台、金沢、奈良、福岡の4つの拠点を繋ぎ、防災、政治、こども、文化財をテーマに各拠点がセッションを配信するタイプのイベントです!

CivicTechForum2015年から続くシビックテックのイベントで、第1シーズンは都心に集まっての有識者によるセミナースタイル、2018年からの第2シーズンは各地のシビックテックプレイヤーによるLTスタイル、そして今年から第3シーズンとして地域ごとの特色を発信して繋がり合うスタイルとなったそうです。

CIVIC TECH FORUM 2022のテーマは「CivicとTech」で、Civic(市民、非エンジニア)とTech(エンジニア)との出会いの場を創ることで、新しいテクノロジーの活用の機会になればと開催されました。

 

最初は仙台より、防災をテーマにセッションがあり、次にエンジニアカフェのイベントスペースに準備された福岡会場にて「文化財」をテーマにセッションがスタートしました!

「2000年のスタートアップ都市・福岡」

福岡会場ではCode for Fukuokaの徳永さんがナビゲーターを務め、福岡市博物館の有馬館長のセッションから始まりました。

福岡を代表する文化財として有名な国宝の金印は、たまたま嵐で流された物や偶然もらったというようなモノではなく、あらかじめ用意されていた兆候があり、これは歴史的に外交のはじまりの印なのかもしれないとのこと。

また、板付遺跡は稲作農耕のはじまりを示す遺跡で、水田の跡や灌漑施設を作っていたのではないか?日本最古の農村ではないか?と言われており、現状では国内最古。

さらに、吉武高木遺跡では、三種の神器のようなセットが出土しており、日本最古の王墓と言ってもよいのでは?

また福岡の文化財といえば、元寇防塁も有名だが、防塁が出来たばかりの時は、かなりの広範囲で石垣が作られており、海から見ると石垣だらけで、上陸できないように、見せていたのではないか。

そうなるとこれは、国防のはじまりと言えるのでは?

日本最古の文化財が集まっている福岡。つまり、いろんな新しい事が福岡近辺から始まっており、福岡市というのは2000年のスタートアップ都市とも言えなくない。

 

「どういうものが文化財か?」

毎年市民の皆さんに寄贈していただいたりしたモノを、新収蔵品展として展示をしているが、多すぎて登録作業が大変で、展示は基本的に2年遅れになっている。

毎年数千件の寄贈がある事が全国でも珍しく、まさに市民の皆さんと博物館の長年のかかわりでこのように多く寄贈していただけている。

新収蔵品展のポスターの中にある草履は、寄贈してくださった方が、庭で遊んでいた時に使っていたもの。実はコレも「文化財」。

この事は、福岡市博物館としては、幅の広さを示している。

幅広い分野を受け入れ、年々膨れ上がっていく文化財はまさに、文化財ビックバンと呼べるだろう。このビックバンを支えるのは専門家だけでは無理な事で、急速に増える文化財に市民が興味を持ってもらう事が必要で、その協力により今後も拡がっていく文化財を後世伝える事ができるのでは?とのこと。

今も昔も最先端の技術を早い段階から取り入れているスタートアップ都市・福岡ならではの「文化財と市民の関わり」を有馬館長のセッションではお伝えいただきました。

 

パネルディスカッション「市民が文化財を身近に感じるには」

Code for Fukuokaの徳永さん、福岡市博物館の有馬館長、福岡XR部の長峰さん、福岡市史跡整備活用課の中尾さん、コダイプレスの中村さんの5人による「市民が文化財を身近に感じるには」というお題でパネルディスカッションがスタート。

まずは元寇防塁の近くの小学校で実施された体験授業にて、担当者の福岡市史跡整備活用課の中尾さんから、ARを利用したとの説明がありました。3Dスキャンした元寇防塁をARで表示して文化財を身近に感じてもらえる授業は、子ども達の評判もよく、当時の元寇防塁体験を楽しんでもらえたとのこと。

実際に表示されるデータを作成した福岡XR部の長峰さんからは、「子ども達にARで元寇防塁を見せたい!」という徳永さんの話しから、コンテンツをエンジニアたちが作り込むのではなく、誰でもできるような技術で簡単に作る方が後々に続いていくのではとの提案をしたとのこと。事前に元寇防塁に出向いて現地でスキャンしたことや、防塁が実際に使われていた時代は今の3倍の高さだったとの説明を聴いて、実際の高さまでスキャンしたデータを加工したそうです。

文化財担当者とエンジニアが協力し合って、体験を成功させた化学反応が素晴らしいですね。

有馬館長からは、1936年に作られた前田虹映の「観光乃福岡市」という鳥瞰図が、まさにARやVRで表示されたようなデザインであり、福岡市は昔から柔軟に新しい手法を取り入れてきたことが紹介されました。

コダイプレスの中村さんからは、遺跡は発掘したら埋めてしまうので、何がそこにあったのか分からなくなるし、もっと身近に感じて欲しい!との想いで古墳や弥生時代を好きな作家さんを育てるところからはじめて、文化財を楽しめるフェスを開催されていたことが紹介されました。

そこから実際に福岡で出土した文化財をクリエーターとコラボしてグッズ化し、ディレクションしながら様々なクリエーターと出土品のグッズを作成し続けているとのこと。

体験発掘イベントの担当者の中尾さんからも、3Dスキャンというテクノロジーと出会い、その後も3Dスキャンを使って意欲的に文化財の保全をしていることが語られました。

文化財をスキャンしたデジタルデータの取り扱いについては、有馬館長から「国の文化財だと実物に何かすることは制限が多いが、デジタルデータなら、無限に可能性が広がると感じているし、博物館の3Dデータに対するコストが下がっていて、以前やろうと思っていたことが今なら低予算で可能になった。デジタル上であれば文化財に近づいて見ることも可能である。」とのこと。

ナビゲーターの徳永さんより、「これをきっかけに、いろいろ活動の輪が広がっていければ良いし、ただ見るだけでも市民側としては嬉しいので、さらにオープンデータとして公開していただければ、加工も可能なので、文化財コンテンツがもっと拡がっていく可能性がある。」というお話がありました。

他にも「人と共有するのにTechが必要だし、文化財は自分たちの身近なものになってきている。」「XRというテクノロジーはまだまだ発展途上であるけど、一般の人たちが普通に使ってくれるようになってくれたら嬉しい。」「いろんな方と出会うことで、広くたくさんの方に文化財を知って欲しい。」とディスカッションが続きました。

最後に有馬館長より

「文化財の保存と活動は、原理主義にならないために、テクノロジーがある。

テクノロジーがその糸口になる!」

という言葉でパネルディスカッションは終了しました。

 

つまり私たちの「日常」が未来の「文化財」になるということ。そう考えると文化財とは身近なものだったのだ!と気づきがありました。

テクノロジーが文化財の保存活動を助けることができ、多様な市民といろいろ繋がって活動できたら!とても良さそうですね。

エンジニアカフェとしても、今後も「新しいモノ昔新しかったモノ(文化財)」や「CivicTech」の化学反応を見守っていきたいです。

 

運営&参加者の皆様イベントのご利用ありがとうございました。またぜひお越しください!

 

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