最近、じわじわと利用者が増えつつあるエンジニアカフェの3Dプリンター『AFINIA H+1』。

プリンターに関しての紹介や、利用方法はこちらを参照↓
「3Dプリンターの利用を開始しました!」 https://engineercafe.jp/ja/topics/1819
実は、エンジニアカフェで準備しているフィラメントはなかなか普通のスペースでは利用できない珍しいものばかり。
これから、ウェブサイトでそれぞれのフィラメントの特長などをご紹介していきます。
今回は『ポリカーボネート』です。
ポリカーボネート(PC)の特長

F-22のコックピットのキャノピー
ポリカーボネートの一般的な物性
- 透明性 ◎
- 板状の製品ではガラス並みの80~95%くらいの透明性を持つものがある
- 戦闘機のキャノピー(上記写真で搭乗員頭上の透明なパーツ)などに使われています
- 耐衝撃性 ◎
- ABS樹脂の5倍、一般的なガラスの250倍くらい
- 防弾ガラスの代わりに使われることも
- 耐熱性
- 100℃~120℃ほどに耐える製品が多い
- 電子レンジや冷凍庫で使える製品も
- 寸法安定性 ○
- 難燃性 ○
- 自己消火性(炎にさらされる間は燃えるが、炎から離されれば消火する性質)がある
ポリカーボネートのエピソード
年配の方は「象が踏んでも壊れない」筆入れを覚えていらっしゃるかもしれませんが、投石されても割れなかった信号機のニュースを見かけたメーカー担当者が、信号機の表面レンズの材質を警察に問い合わせたところポリカーボネートだと教えられて採用した、という逸話があります。
3Dプリンターのフィラメントとしてのポリカーボネート(PC)

ポリカーボネートフィラメントの特長
販売元から、ABSの約2倍の荷重に耐えるという荷重テストの結果が報告されています。
そのため、薄く作っても高い強度を得ることができ、安くて軽い部品が作れます。
ポリカーボネートフィラメントの利用ケース
既製品の金属製のパイプやフレーム材などとうまく組み合わせると、費用を抑えて性能の高い部品を作れるのでおすすめです。
エンジニアカフェで指定しているポリカーボネートフィラメント
エンジニアカフェでは、polymaker社製の「PolyMax™ PC」をポリカーボネートフィラメントとして指定しています。こちらは、出力後、110℃までの熱では変形しません。
これだけの高性能を持っていますが、フィラメントの重量単価も割安です。
エンジニアカフェのカフェコーナーでもホワイトを200円/10gで購入できますが、同じ製品であれば、インターネットで別の色を購入して持ち込んでいただくこともできます。
スタッフからのワンポイント出力アドバイス
ポリカーボネートフィラメントは、接着力がとても強いです。
これは強度や精度の高いパーツを作るときには助かる反面、サポート材が非常に剥がしにくく、出力後に途方に暮れることがあります。

その場合、AfiniaStudioで以下の設定を試してみてください。
- 「印刷設定」の詳細設定で、サポートの「レイヤー層(支持層)」を6レイヤーに変更する。
- 積層ピッチを0.2mm以上にする。
- 「簡単に剥がす」にチェックを入れる。
- ノズルとテーブルの隙間を少し開ける。
- ビルドタック無しのPerfboardに出力する(ノズルとテーブルの隙間調整が必要です)
- サポートが多い造形や大き目の造形物は避ける。
※4~6は機械側の調整ですので、詳しくはスタッフまでお問い合わせください。
ソフトウェアのマテリアル設定は「PC(polymaker)」にしてください。
また、出力後に塗装する場合には、ポリカーボネート用の塗料をご使用ください。
ポリカーボネートは、うまく使うと非常に強度の高いパーツを簡単に作ることが出来ます。
ぜひ、一度お試し下さい。
この記事を見て、3Dプリンターに興味を持った初心者の方、1人で解決出来ない3Dプリンターの悩みをお持ちの方、様々な方のご相談を受け付けています。
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